未来の臨床試験 - 第十二話 21世紀の臨床開発を支える新しい技術

2025年1月4日(2021年3月24日初出)

「ねぇ、ロック」 「うむ」
「何か、この治験アプリの質問が昨日までの質問と変わったんだけど」
「アダプティブデザイン」
「は?何?」
「さくら達の治験データを解析した人が、質問の内容を変えたくなったの」
「へー、でもこれ画面よく見てないと、いつものつもりで全然違うこと入れちゃうところだったよ」
「アプリを起動したときに、メッセージが出たと思うけど」
「あー、何か通知が表示されてたかも知れないけど、よく見なかった」
「さくらバナー見ない、危険、いい加減、報告、先生に報告」

私の家にロックがやってきて約一年、相変わらず良く分からないことを言っていることもあるけど、私の治験は順調に進んでいて、それなりの結果も出ているらしい。私自身の調子がすこぶる良いというのもそれを裏付けているのだろう。

さっきロックと話したように、今日初めてアプリの質問の内容が変わった。これまで、アプリそのものがアップデートされて新しい機能が付いたり、画面の表示がおかしかったのが直ったり、というのは何度かあったけど、質問はいつも同じで、毎日聞かれるもの、日曜日に聞かれるもの、毎月1日に聞かれるもの、そのたびに同じ質問に回答していたんだけど、今日はこれまでのものとは違う質問が5個くらい表示された。

ロックは、アダプティブデザインだって言うんだけど、Googleで調べても専門用語ばかりで、「21世紀の臨床開発を支える新しい技術」だってことくらいしか分からなかった。まぁ、何かそういう新しい技術のせいで私への質問が変わったわけね。

そういえば、薬を受け取るのも、これまではメールで送られてきた処方箋を持って薬屋さんまで行ってたんだけど、最近アプリの中に、自宅に届ける(ドローン)というのが追加されてた。今度これを試してみようか。この間ロックが壊れた時みたいに届けに来てくれるのかな。