「先生、今度の日曜日から2週間、受験のための合宿で琵琶湖に行くんですけど」
「ロックも琵琶湖行くー」
ロックのフォログラム通話を使って、かかりつけの先生と大学病院の先生と3人で話をしていた時にロックが割り込んできた。
「あんた、今先生と大事な話してるんだから割り込んでこないでよ」
「この間処方した薬は1か月分出したはずだから、薬に関しては大丈夫ですね。問題は、緊急事態が起こった時の対応か」
何事もなかったかのように、大学病院の先生が続けた。他の患者さんのロボットもこんな感じだから慣れているんだろうか。沢山のロックの相手をしないといけない先生も大変だな。
「緊急事態ですか?」
「うむ。今飲んでいる治験薬は、大きな副作用は報告されていないのだが、万が一ということもあるし、元々の病気のこともあるから、滞在先で何か起こった時にサポートしてもらえるような準備は必要だろうね」
「はい。」
副作用か。治験に参加するときにビデオで説明を見たっけ。
「わたしの学生時代の悪友が琵琶湖の近くで開業してるから、連絡しておくよ。さくらさんにも連絡先をメールしておくから」
「あと、ロボットは連れていく必要ないから、いつものようにFaceTimeで薬飲むところだけ見せてあげて」
「はい。わかりました」
「ロック残念。ロック残念。ビワコオオナマズ見られない....」
大学病院の先生が合宿先の近くで開業している先生を紹介してくれたおかげで、難なく合宿も乗り切れそうだ。